eスポーツのプレイヤーが、ゲームに集中し、実力を十分に発揮するためには、健康管理が大切です。これはプロ選手はもちろん、eスポーツを趣味とするすべてのプレイヤーに共通です。
この記事では、2019年1月22日に医学雑誌『British Journal of Medicine』に掲載されたレポートをもとに、eスポーツを行う際の健康上の注意点を見ていきたいと思います。
目の疲れや手の痛みを放っておかないで
アメリカ・ニューヨーク工科大学の医学研究者が、アメリカの大学生eスポーツプレイヤー65人を調査したところ、プレイヤーのトレーニングスケジュールは1日あたり平均5〜10時間で、多くのプレイヤーが体の不調を訴えた経験があること分かりました。
報告された不調は、目の疲労(56%)、首と背中の痛み(42%)、手首の痛み(36%)、手の痛み(32%)でした(一人が複数回答可)。しかし、そのうち病院にいったのはわずか2%でした。
周囲の人は、スポーツのアスリートと比べて、eスポーツプレイヤーの不調には気づきにくいです。また、プレイヤー自身も「そのうち治るだろう」などと不調を放ってしまいがちです。
しかし、研究者らは、身体が損傷するとプレイヤー人生が終わってしまうことを懸念しており、eスポーツ選手の健康ケアの重要性を訴えています。
eスポーツ選手が健康に関して注意すべきこと
研究者らは、eスポーツプレイヤーが特に気を付けるべき点について次のように述べています。
・モニターの見すぎ
eスポーツのプレイヤーは、LEDのコンピュータ画面を長時間見続ける必要があります。最近の研究では、LEDの光に長時間さらされると、網膜に損傷を与えたり、メラトニンの量が乱れて体内時計が狂う可能性があることが実証されています。その結果、プレイヤーは、目の疲れや睡眠の乱れを生じやすいと言います。
・手先の酷使による怪我
練習に費やされる時間が多すぎると、手先の使い過ぎによる怪我を引き起こす可能性があります。その危険性は、ゲームプレイが激しいほど高まります。初心者プレイヤーは平均的に、1分あたり約50回の操作を行います。しかし、上級者プレイヤーは1分あたり500-600回、すなわち1秒間に10回の操作を行います。このように激しいプレイをしていると、手や手首を怪我しやすくなります。
・座りすぎによる姿勢悪化
プレイをするときには何時間も同じ姿勢で座っていることがあります。これは姿勢の悪化や、首や背中の痛みを引き起こす可能性を高めます。さらに、プレイヤーの40%が、ほかの運動などの身体活動を行っていないことが分かっています。運動不足は、筋肉の衰えを招き、痛みや怪我につながりやすくなります。
このように、eスポーツプレイヤーも健康を損ねるリスクがあります。健康な体でいつまでもゲームを楽しむには、日頃からこうした点に注意しながらプレイするのが大切ですね。
元レポート(英文):Managing the health of the eSport athlete: an integrated health management model
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