近年では、ゲームに特化したマートフォンである「ゲーミングスマホ」が販売され始めています。ゲーミングスマホは通常のスマホよりもハイスペックなので、多くの計算処理が必要なゲームアプリでも快適にプレイすることができます。
現在、国内で正式に販売されているゲーミングスマホは、中国の総合家電メーカーXiaomi(シャオミ)の「Black Shark 2」(ブラック・シャーク・ツー)と、台湾のパソコンメーカーASUS(エイスース)の「ROG Phone」(アールオージー・フォン)です。
この記事では、「Black Shark 2」と「ROG Phone」、および国内販売未定ではあるものの今後日本での発売が期待される「ROG Phone 2」の3機種を比較します。
関連記事:ゲーム向けスマホ「ゲーミングスマホ」とは何か?普通のスマホとの違いは?
発売時期の比較
まずは、発売時期を比較します。新しい機種ほど最新の部品が搭載されているので、最近発売されたものほど高性能であるといえます。
ROG Phone 2 | Black Shark 2 | ROG Phone |
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海外:2019年9月 日本:未定 | 海外:2019年3月 日本:2019年6月 | 海外:2018年10月 日本:2018年11月 |
ROG PhoneとBlack Shark 2は、共に海外での販売が先行し、数カ月遅れて日本国内でも販売されています。ROG Phone、Black Shark 2、ROG Phone 2の順で、約半年ごとに販売を開始していることがわかります。
CPU:計算速度の違いを比較
スマホの”脳みそ”といえる「CPU(シーピーユー)」について比較します。3機種ともQualcomm(クアルコム)社のSnapdragon(スナップドラゴン)シリーズをCPUとして搭載しています。
ROG Phone 2 | Black Shark 2 | ROG Phone |
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Qualcomm Snapdragon 855 Plus 2.96GHz | Qualcomm Snapdragon 855 2.84GHz | Qualcomm Snapdragon 845 2.96GHz |
Snapdragon 845よりモデル番号の大きいSnapdragon 855の方が新しいCPUです。Qualcomm社によれば、Snapdragon855の方が45%程度高速に計算可能とのことです。また、ROG Phone 2に搭載されているSnapdragon 855 Plusは、Snapdragon 855の性能をさらに強化したCPUになります。発売日の新しいゲーミングスマホほど、新しいCPUが搭載されています。
GPU:画面表示の速さを比較
「GPU(ジーピーユー)」は、3Dグラフィックなどの画像処理の計算を行います。CPUがスマホ全体の計算を行うのに対して、GPUは画像処理に特化した計算を得意とします。「PUBG Mobile(パブジーモバイル)」などの3Dゲームで画面表示をスムーズに行うためには、強力なCPUとGPUが必要となります。
ROG Phone 2 | Black Shark 2 | ROG Phone |
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Qualcomm Adreno 640 | Qualcomm Adreno 640 | Qualcomm Adreno 630 |
2019年発売のROG Phone 2、Black Shark 2にはAdreno(アドレノ) 640が搭載されており、2018年発売のROG Phoneには1世代前のGPUであるAdreno 630が搭載されています。Qualcomm社によると、Adreno 640はAdreno 630と比較して20%性能向上しているようです。また、Snapdragon 855 PlusとAdreno 640の組み合わせは、Snapdragon 855とAdreno 640の組み合わせに比べて15%グラフィック性能が向上しています。
メモリ:作業スペースの比較
「メモリ」は、ゲームなどのプログラムを実行する際の作業スペースです。メモリに格納されたデータをCPUやGPUで計算します。作業スペースが小さいと、高性能のCPUやGPUを搭載していてもその能力を使い切ることができません。
ROG Phone 2 | Black Shark 2 | ROG Phone |
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12GB | 12GB | 8GB |
上記は、3機種とも最上位モデルのメモリサイズです。2019年発売のROG Phone 2、Black Shark 2は12GB、2018年発売のROG Phoneは8GBのメモリを搭載しています。将来、大量のメモリを必要とするゲームがリリースされても対応可能なモデルだと言えます。
3機種ともメモリサイズが小さい格安モデルも展開しており、日本では、Black Shark 2の格安モデル(メモリサイズ6GB)のみ正式に販売されています。格安モデルといえど、現時点(2019年10月)においては、メモリ6GBでもゲーミングスマホとしては十分なメモリサイズです。
ディスプレイ:画面表示能力を比較
eスポーツをプレイするためには視認性が良く、画面の動きをスムーズに表示できる高機能なディスプレイが必要です。
ROG Phone 2 | Black Shark 2 | ROG Phone |
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6.59inch 2340×1080 AMOLEDディスプレイ Gorilla Glass 6 | 6.39inc 2340×1080 AMOLEDディスプレイ Gorilla Glass 5 | 6.0inch 2160×1080 AMOLEDディスプレイ Gorilla Glass 6 |
3機種とも「AMOLED(アモレッド)ディスプレイ」と呼ばれる有機ELを搭載しています。有機ELは、iPhone 11 Proなどにも搭載されている最新のディスプレイです。有機ELは液晶ディスプレイに比べてコントラストが高いため、画面表示がはっきりとしており、より高速に画面を動かすことができるのが特徴です。画面サイズは、3機種ともeスポーツに最適な6inch以上の大画面です。
ディスプレイ表面は、Corning(コーニング)社が製造する「Gorilla Glass(ゴリラガラス)」で守られています。Gorilla Glassは、スマートフォンに多く採用されている強化ガラスです。Corning社によると、Gorilla Glass 6はGorilla Glass 5の2倍の強度を持つ強化ガラスのようです。
バッテリと重量を比較
eスポーツの上達には日々の練習が欠かせません。長時間プレイするためには、十分なバッテリが必要です。さらに、長時間スマホを持ち続けるため軽量である必要があります。
ROG Phone 2 | Black Shark 2 | ROG Phone |
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縦:170.99mm 横:77.6㎜ 厚さ:9.48mm | 縦:163.61mm 横:75.01㎜ 厚さ:8.77mm | 縦:158.8mm 横:76.1㎜ 厚さ:8.3mm |
重量:240g | 重量:205g | 重量:200g |
6,000mAh | 4,000mAh | 4,000mAh |
バッテリの容量が最も大きいのは、ROG Phone 2の6,000mAh(mAhは1時間あたりに流せる電流の量)ですが、その分、240gと、他の2機種に比べて40gほど本体が重いことがわかります。大容量バッテリーほど、スマホが重くなります。40gの重みの違いをどう感じるかは個人差がありますので、購入前に実際に重みを確認されることを推奨します。
参考:実際に店舗でゲーミングスマホを見てみよう~ヨドバシAkiba編~
「eスポーツをはじめよう!」のオススメ
2019年10月時点で、eスポーツ初心者の方にオススメのゲーミングスマホは、Black Shark 2のメモリ6GBのモデルです。理由はコスパがいいからです。

ゲーミングスマホの最上モデルは8万~14万円程度の価格で発売されていますが、Black Shark 2 メモリ6GBのモデルは5万円(税抜き)を切る価格で販売されています。Snapdragon 855(CPU)、Adreno 640(GPU)の性能を生かすにはメモリ6GBで十分です。今の時点ではBlack Shark 2を購入し、eスポーツにハマった暁には、1~2年後にその時の最新ゲーミングスマホに買い替えるのが得策かと思います。
また、ROG Phoneはブラックのみですが、Black Shark 2は3色(フローズンシルバー、シャドーブラック、グローリーブルー)展開で、デザイン面も楽しめます。筆者個人的には、グローリーブルーが綺麗でオススメです。
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